/api/breadth-backtest ・ /api/breadth当サイトが表示している Breadth Gap(指数と実態の乖離) と 寄与集中度 に、 その後の値動きを予測する力があるかを検証しました。指標を公開する前に必ず検証するという 恒久ルールにもとづく測定です。結論は次のとおりです。
結論日経平均が上がった日でも、実際に上がっている銘柄が少ないことがあります。指数は値がさ株の影響を強く受けるためです。この「見た目」と「実態」のズレを数値化したのが Breadth Gap です。
Breadth Gap = 日経平均の騰落率(%) − 日経225全銘柄の騰落率の中央値(%)
プラスが大きいほど「指数だけが上がっている」状態を表します。あわせて、日経平均の値動きが何銘柄に集中しているかを示す寄与集中度(絶対寄与の上位5銘柄が全体に占める割合)も検証しました。
直感的には、「指数主導の上昇は続かない」という仮説が立ちます。上昇が一部の銘柄に偏っているなら地合いは見かけほど強くなく、その後に反落しやすいのではないか、という考えです。これを実データで確かめました。
日経225の全採用銘柄について、2024-08-15〜2026-08-14の487営業日を対象としました。各営業日の Breadth Gap を計算し、その値で全営業日を5分位に分け、翌日・5営業日後・20営業日後の日経平均の騰落率を測っています。
指標の計算に使うのはその日までに確定した終値のみで、先の値動きには一切触れていません。日経平均の騰落率は指数の実測値、中央値は各銘柄の終値から算出しており、指数ウェイトを使わないため過去にさかのぼっても厳密に再現できます。
個別銘柄の検証では日経平均を引いて超過リターンを出しますが、市場全体の指標では日経平均そのものが被説明変数になるため、この方法は使えません。そこで全期間の平均リターンとの差を超過分としました。「その日を選んだことに意味があったか」という問いに対応します。
| 基準 | 翌日 | 5営業日後 | 20営業日後 |
|---|---|---|---|
| 全期間の平均リターン | +0.14% | +0.65% | +2.46% |
日次の指標で5日後・20日後を測ると、隣り合う営業日の観測期間が大きく重なります。この状態で各日を独立と仮定すると標準誤差が小さく出すぎ、本当は誤差の範囲のものが有意に見えてしまいます。そこで月ごとに集計し直して月単位で検定する補正(月クラスタ)を併走させました。
| 分位 | Gapの平均 | 翌日 | 5営業日後 | 20営業日後 | 20日後の超過 |
|---|---|---|---|---|---|
| Q1 | -1.24 pt | +0.08% | +0.78% | +2.35% | -0.11% |
| Q2 | -0.26 pt | +0.27% | +0.59% | +1.96% | -0.50% |
| Q3 | +0.10 pt | +0.30% | +0.83% | +2.91% | +0.45% |
| Q4 | +0.45 pt | +0.10% | +0.44% | +2.44% | -0.02% |
| Q5 | +1.37 pt | -0.03% | +0.65% | +3.18% | +0.72% |
仮説どおりなら Q5(指数主導)のその後が悪いはずですが、そうなっていません。Q5の20営業日後は+3.18%で、むしろ全体平均を+0.72pt上回っています。一方でQ3が+2.91%と高く、分位を追って単調に変化する関係は見られません。
| Q5 − Q1 | 差 | 標準誤差 | t値 | 月クラスタ後のt値 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 翌日 | -0.09% | 0.26 | -0.4 | -0.2 | 誤差の範囲 |
| 5営業日後 | -0.14% | 0.49 | -0.3 | +0.2 | 誤差の範囲 |
| 20営業日後 | +0.74% | 0.85 | +0.9 | +1.0 | 誤差の範囲 |
すべて |t| < 1.0 です。判定基準としている 2 に遠く及ばず、統計的な優位性は確認できませんでした。
| 分位 | 上位5銘柄の集中度 | 翌日 | 5営業日後 | 20営業日後 | 20日後の超過 |
|---|---|---|---|---|---|
| Q1 | 30.9% | +0.19% | +0.94% | +2.56% | +0.10% |
| Q2 | 38.0% | +0.20% | +0.09% | +1.70% | -0.76% |
| Q3 | 43.5% | +0.03% | +0.61% | +2.20% | -0.26% |
| Q4 | 50.1% | +0.25% | +1.02% | +3.28% | +0.82% |
| Q5 | 59.7% | +0.04% | +0.62% | +3.11% | +0.65% |
| Q5 − Q1 | 差 | 標準誤差 | t値 | 月クラスタ後のt値 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 翌日 | -0.16% | 0.28 | -0.6 | -0.6 | 誤差の範囲 |
| 5営業日後 | -0.31% | 0.48 | -0.6 | -0.7 | 誤差の範囲 |
| 20営業日後 | +0.32% | 0.84 | +0.4 | +0.3 | 誤差の範囲 |
こちらもすべて |t| < 1.0。「日経平均が数銘柄で動いた日は、その後が違う」という関係は確認できませんでした。
なお過去にさかのぼった集中度は、指数ウェイトが月次で改定されるため現在のウェイトを過去に当てはめた近似です。直近で株価が大きく上がった銘柄の過去の寄与を過大評価する方向に偏ります。Breadth Gap 自体はウェイトを使わないため、この影響を受けません。
予測力が無いことと、指標に価値が無いことは別の問題です。
「日経平均は+1.16%だが、225銘柄の中央値は+0.30%。上昇寄与の50%を上位5銘柄が占める」——これは今日の相場がどういう構造だったかを説明する事実であり、指数の数字だけを見ていては分からないことです。翌日を当てられなくても、今日を正確に理解する助けにはなります。
したがって当サイトでは、これらの指標を「予測指標」ではなく「記述指標」として表示します。表示箇所には必ずこの検証結果へのリンクを添え、「翌日以降の予測力は確認されていない」と明記します。数字だけが独り歩きして予測指標として読まれることを避けるためです。
本レポートの数値は当サイトの検証用APIがそのまま返しているものです。/api/breadth-backtest が分位別の結果・t値・月クラスタ補正後の値を返します。指標そのものの日次系列は /api/breadth で確認できます。