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銘柄の性格は続くのか — 225銘柄×5指標・1,125組の検証

公開 2026-08-16 / 対象: 日経225全銘柄 × 外部5指標(1,125組) / 期間: 2024-08-14〜2026-08-14(488営業日) / 検証者: RegimeNote運営事務局
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検証日
2026-08-16
データ期間
2024-08-14〜2026-08-14
対象・N
日経225全銘柄 × 外部5指標 / 1,125組
結論
多くは続いていない。前半と後半で相関が変わらなかったのは34.1%。VIXだけが72%で他4指標は20〜30%
最小検出可能効果
相関の変化で |Δz| ≥ 0.18(相関0.5なら Δr 0.12 / 相関0なら Δr 0.18)この検定設計(サンプル数・クラスタ補正・|t| ≥ 2)で見える下限です。これより小さい効果は、存在しても検出できません。「差が出なかった」は「効果がゼロ」ではありません。
使用API
/api/sensitivity?dist=1
本記事の数値は検証日時点のものです。当サイトのデータは毎営業日更新されるため、時間の経過とともに最新のAPI応答とは差が生じます。四半期ごとに掲載数値と結論を最新データで再検証し、結論が変わった場合は本文を改訂して記事末尾に改訂履歴を残します。

「この銘柄は半導体に連動する」「為替に敏感な銘柄だ」——株式の解説で日常的に使われる語り方です。 当サイトも各銘柄ページで、その銘柄が何に連動して動いてきたかを表示しています。 ではその連動は、期間を分けても同じように成立するのでしょうか。指標を出す以上は検証とセットにするという 恒久ルールにもとづき、自分たちが表示している数字そのものを検証しました。結論は次のとおりです。

結論
  1. 多くは続いていません。1,125組(225銘柄 × 5指標)のうち、期間の前半と後半で相関が変わらなかったのは 384組・34.1%にとどまりました。残る741組(65.9%)は、 前半と後半で別の値になっています。
  2. 例外はVIXだけです。VIXとの関係は225銘柄中161銘柄(72%)で変わりませんでした。 一方、NASDAQ 30%、日経平均 28%、ドル円 22%、SOX指数 20% と、 他の4指標はいずれも2〜3割です。
  3. 弱い関係ほど続きません。相関が0.2未満だった組の安定率は数%まで下がります。 弱い連動を「この銘柄の性格」として読むことには根拠がありません。

1. 何を検証したか

ある銘柄の日々の値動きが、日経平均・SOX指数・NASDAQ・ドル円・VIXとどれだけ一緒に動いてきたかを相関係数で測ったものを、当サイトでは感応度と呼んでいます。銘柄ページでは連動の強さを★で示しています。

ここで検証したいのは「その関係は期間を通じて同じか」です。2年分をひとまとめにして「相関0.45」と出したとき、それが2年間ずっと0.45付近だったのか、それとも前半0.65・後半0.20を平均しただけなのかは、同じ数字からは区別できません。後者なら、その数字を銘柄の性格と呼ぶことはできません。

なお本検証は、感応度が「その後の値動きを当てられるか」を測るものではありません。測っているのは関係そのものが続いているかです。予測力については別途、決算後の値動き・指数と実態の乖離・出来高の異常で検証しています。

2. データと方法

日経225の全採用銘柄について、2024-08-14〜2026-08-14の488営業日の終値から日次騰落率を作り、外部5指標との相関を出しました。銘柄と指標の全組み合わせで1,125組になります。

時点の揃え方

市場の開いている時間が違うため、指標ごとに対応させる日を変えています。ここを揃えないと、そもそも相関が正しく出ません。

指標対応させる日理由
日経平均・ドル円同じ日日本市場と同時に動いているため
SOX指数・NASDAQ・VIX前営業日の米国市場米国の引けは日本時間の早朝で、日本市場はその後の取引時間で反応するため

前営業日を使うのは先読みではありません。米国市場の終値は日本市場が開く前に確定しているためです。

安定しているかの判定

期間を前半・後半に分け、それぞれで相関を出し直して2つの相関に差があるかを検定します。判定にはFisherのz変換を使います。

z = ( atanh(前半の相関) − atanh(後半の相関) ) ÷ √( 1/(n₁−3) + 1/(n₂−3) )

相関係数は −1〜+1 に押し込められているため、そのまま引き算すると値の大きい領域で差が過小に見えます。atanh(逆双曲線正接)で変換すると、この歪みが取れて標準的な検定にかけられます。|z| < 2 かつ符号が一致していれば「安定」としました。この |z| ≥ 2 という基準は、当サイトの他の検証で使っている |t| ≥ 2 と同じ水準です。

「差が0.2未満なら安定」といった閾値は使っていません。そうした基準はどこで線を引くかを自由に選べてしまい、結論を都合よく動かせるためです。検定に置き換えることで、判断の余地を残さないようにしています。

3. 結果:安定していたのは全体の34.1%

指標対応日安定変化あり安定していた割合|z|の中央値相関の変化幅の中央値
VIX前営業日1616472%1.420.123
NASDAQ前営業日6715830%2.680.225
日経平均同日6316228%3.140.202
ドル円同日4917622%3.110.278
SOX指数前営業日4418120%3.20.274
「変化の中央値」は前半と後半の相関の差の絶対値の中央値。|z|の中央値が2を超えている指標では、半数以上の銘柄が判定基準を超えて変化しています。

VIXだけが72%で、残る4指標は20〜30%です。「この銘柄は半導体に連動する」という説明は、2年をひとまとめに見ればそう言えても、前半と後半では別の値になっていることが多い、ということになります。

不安定と判定されたものが、判定基準のぎりぎりに集まっているわけでもありません。日経平均では|z|の中央値が3.14、SOX指数では3.2で、基準の2を大きく超えています。一方VIXは1.42と2を下回っており、相関の変化幅そのものも中央値0.123と最小です。

4. 変化の中身:ほとんどが「弱まる」方向

指標弱まった強まった符号が反転した変化幅のp90
VIX18420210.234
NASDAQ1684530.379
日経平均18917190.443
ドル円9421290.413
SOX指数1256940.442
符号が反転した組は「弱まった/強まった」に含めていません。数値は分割点を半分ずつにした場合。

変化の向きには明確な偏りがあります。点推定はほぼすべての指標で「後半のほうが弱い」方向に動いています(日経平均で189組、VIXでも184組)。VIXが安定と判定されるのは変化していないからではなく、その変化幅が検定を通らないほど小さいからです。この違いは重要なので、安定=不変ではないと理解してください。

また、SOX指数では94組、ドル円では129組で相関の符号そのものが入れ替わっています。前半は正の相関だったものが後半は負になっている、という状態です。もともとの相関が小さい組では、符号は容易に入れ替わります。

5. 弱い関係ほど続かない

全体の相関の強さで組を分けると、はっきりした傾向が出ます。

指標|相関| 0.2未満0.2〜0.40.4以上
VIX55%(80組)80.6%(144組)100%(1組)
NASDAQ19.1%(89組)36.7%(128組)37.5%(8組)
日経平均3.6%(28組)15.7%(51組)37%(146組)
ドル円23.8%(202組)4.3%(23組)—
SOX指数4.4%(114組)26.9%(93組)77.8%(18組)
各セルは「その帯に入る組のうち安定していた割合(組数)」。—は該当ゼロ。

SOX指数では、相関0.2未満の組の安定率が4.4%なのに対し、0.4以上の組では77.8%(18組)です。日経平均でも3.6% → 37%と上がります。

この傾向は、検定の仕組みから機械的に生じるものではありません。atanh変換は相関が大きい領域ほど差を拡大するため、強い相関のほうがむしろ「変化あり」と判定されやすくなります。それでも強い関係のほうが安定しているというのは、検定の偏りに逆らって観測された関係です。

実務的な含意ははっきりしています。相関が0.2に満たない連動を「この銘柄の性格」として扱う根拠は、このデータには見当たりません。当サイトが★1〜2の弱い連動を強調しないのはこのためです。

6. なぜVIXだけが安定しているのか

まず事実の確認から。VIXは相関の強さで見れば最上位ではありません(|相関|の中央値は0.248で、日経平均の0.496より小さい)。それでも安定率は最も高い。強く連動しているから続いている、という説明は当たりません。

指標|相関|の中央値p10p90最大対応日数
VIX0.2480.0840.3430.401486
NASDAQ0.2380.0760.3660.444485
日経平均0.4960.1770.6670.759487
ドル円0.1260.0470.20.341484
SOX指数0.1930.0410.380.525485

ここから先は一つの見方であり、本検証が示したものではありません。データが示しているのは「VIXとの関係は変化しにくかった」という事実だけで、その理由を測ってはいません。

一つの見方として —— VIXは特定の産業や商品ではなく、市場全体の警戒感を表す指標です。相場が荒れる局面での各銘柄の振る舞い(大きく崩れるか、比較的持ちこたえるか)は、事業内容やテーマの流行り廃りよりも、その銘柄の流動性・投資家層・値動きの荒さといった構造的な性質に左右されるのかもしれません。一方でSOX指数やドル円との関係は、その時々の業績構成や市場テーマに依存するため、期間が変われば変わりやすい——という解釈は成り立ちます。ただし本検証はこの因果を検証していません。

競合する説明も残ります。VIXの相関の変化幅は中央値0.123と他指標の半分程度で、単に動く幅が小さいために検定を通らなかっただけという可能性です。この2つを区別するには、より長い期間か、別の市場での再現が必要です。

7. 分割点を変えても結論は変わるか

「前半と後半に分ける」という方法には、どこで分けるかによって結果が変わるという弱点があります。これは指摘されるまでもなく実際に測るべきものなので、分割点を動かして測り直しました。

指標前半35% : 後半65%半分ずつ(採用)前半65% : 後半35%
VIX43%72%87%
NASDAQ10%30%63%
日経平均13%28%46%
ドル円16%22%12%
SOX指数7%20%50%
各セルは安定と判定された割合。片側が60営業日を下回る分割は行っていません。

安定率の水準は分割点に強く依存します。SOX指数は7%〜50%、NASDAQは10%〜63%と、分割点を変えるだけで大きく動きます。したがって「SOX連動が安定しているのは20%」という数字そのものを、確定した値として受け取らないでください。

一方で順位は変わりません。VIXはどの分割点でも最も安定しており(43%〜87%)、いずれの切り方でも他の4指標を上回ります。「多くの連動は続いておらず、VIXだけが例外的に持続的」という結論は、分割点の取り方に依存していません。本レポートが主張するのはここまでです。

なお、前半を短く取るほど安定率が下がるという傾向自体も観測されています。前半・後半の日数が入れ替わっても検定の標準誤差はほぼ同じなので、これは検出力の違いでは説明できません。期間の前半(2024年後半〜2025年前半)の相関が、それ以降と特に大きく違っていたことを示しています。

8. 限界

9. この結果をどう使っているか

検証結果は、公開の可否だけでなく見せ方を決める材料です。当サイトでは次のように反映しています。

閾値と定義はすべてこのサイトについてに公開しています。

10. 再現方法

本レポートの数値は当サイトの測定用APIがそのまま返しているものです。/api/sensitivity?dist=1 が指標別の安定性・分割点別の安定率・|z|の分布・相関の強さ別の内訳を返します。個別銘柄の前半/後半の相関と|z|は /api/sensitivity?code=XXXX で確認できます。

改訂履歴
2026-08-16 公開(初版)
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本レポートは過去データの集計結果であり、将来の株価を予測・保証するものではありません。 本レポートは特定銘柄の売買を推奨するものではありません。 当サイトは金融商品取引法に基づく投資助言・勧誘を行うものではなく、記載内容は情報提供を目的としています。 投資の最終判断はご自身の責任において行ってください。
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