/admin/hist(日経平均・NIY=F・1321.T の日足)トップの「平常から外れた数字」には、CME の日経先物と日経平均の終値の差を載せています(「先物(CME)は現物を◯円下回っています」)。 この差を見て「明日の寄りは安い」「寄った後も下げる」と読みたくなりますが、当サイトはその含意を書いていません。 書く前に、2004年からの22年・5,308営業日で関係を測りました。結果を1つも見る前に設計を凍結した検証です。
結論トップの「平常から外れた数字」には、CME の日経先物の終値と日経平均の終値の差を載せています。 東京の引け(15:30)の後もシカゴで取引が続くので、この差は東証が閉じている間に起きた値動きを映します。 差が大きい日に「明日の寄りは安い」「寄った後も下げる」と読みたくなるのは自然ですが、当サイトはその含意を書いていません。 書く前に、関係を測りました。問いは2つです。
後者は指数の方向の話です。当サイトは指数の方向を当てにいって、これまで5回とも基準を満たしていません。
| 回 | 検証 | 結果 |
|---|---|---|
| 1 | Breadth Gap と寄与集中度 → 翌日・5日・20日先 | 全12検定で |t| < 1.0 |
| 2 | 類似局面のその後 | 12通りすべてで検出できず |
| 3 | σバンドの水準 → その後の超過 | 60検定で基準を満たしたセルはゼロ |
| 4 | 月足の反発ルール | 指数 0/14・個別 0/14 |
| 5 | 前日の為替 → 翌営業日の日経 | 夜・日中とも基準未満 |
今回は6回目です。結果を1つも見る前に、検定・判定基準・停止規則・診断を固定しました(12章)。
CME の日経先物の日足はシカゴの16時に閉じます。これは東京の翌朝6〜7時で、 東京の引けより後、翌営業日の寄り(9:00)より前です。そこで、東京の営業日 D ごとに 翌営業日 D' の寄りより前に閉じた CME の最新の日足を対応させました。 この対応はトップの行が使っているものと同じ関数で、定義を2か所に持っていません。
| 記号 | 定義 | 何か |
|---|---|---|
| X | 100·ln(CME の終値 ÷ 日経平均の終値[D]) | 先物と現物の差(%) |
| X* | X − 直前20営業日の X の平均(当日を含まない) | 主系統。配当・金利の分(ベーシス)の近似を引いた差 |
| Y1 | 100·ln(始値[D'] ÷ 終値[D]) | 翌営業日の寄りの差 |
| Y2 | 100·ln(終値[D'] ÷ 始値[D']) | 寄り後の日中 |
| Y2(ETF) | 1321 の 100·ln(終値[D'] ÷ 始値[D']) | 実際に約定する寄り値で測った日中(診断) |
X をそのまま使わないのは、先物には配当と金利の分が入るからです。3月・9月の SQ(第2金曜)の後は、 次の限月が月末の配当の権利落ちをまたぐので、先物は現物より配当のぶん安くなります。 これは東証が閉じている間の値動きではないので、直前20営業日の平均を引いて近似的に取り除きました。
日足には2つの手当てをしています。Yahoo の日経平均の日足には東証の休日にも値の無い行や前日の値を置いた行があるので、 立会日は法律の規則から組み立てた暦で判定しました(2004年以降の5,556立会日と突き合わせて暦の誤りは0)。 日足そのものが欠けている立会日(3日)をまたぐ行と、同一バー内で高値が安値の10倍以上ある壊れた記録は使っていません。
判定は他の検証と同じく、2つの方法の両方で |t| ≥ 2 を要求します。
2つが同じ計算に退化していないかも毎回確かめ、標準誤差の差が2%未満なら暦月クラスタを ブロックブートストラップ(長さ5・2000反復・固定シード)に差し替える、と先に決めました。 今回は1か所(先物が上のときの傾き β+)で差し替えが起きています。
| 検定 | 式 | 何を見るか |
|---|---|---|
| T1 | Y1 ~ X* | 寄りでの織り込み率。大きく出るのは当然なので合否を付けない |
| T2(主要) | Y2 ~ X* | 寄り後に同じ向きへ続くか、戻るか |
| T3 | |Y2| ~ |X*| | 寄り後の値動きの大きさ |
| T4 | Y2 ~ X* の負の部分 + 正の部分 | 先物が下のときと上のときで傾きが違うか(2係数) |
| T5 | 差が上位10%の日に Y2 が X* と同じ向きだった割合 − 全期間の割合 | 表示に使うとしたらこの形(頻度) |
| T6 | T2 から SQ の前後3日を除く | 限月の継ぎ目と配当の影響への感度 |
係数にして7本です。偶然でも |t| ≥ 2 は 0.35本前後出ます。 このほかに、本数に数えない診断を2つ置きました。
ベーシスを引いた差 1% あたり、翌営業日の日経平均の始値は平均 +0.55% でした(t = +25.0 / +17.3)。 1 との差は −0.45(t = −20.1 / −13.9)で、始値の時点では差の半分ほどしか表れていません。 T1 は合否を付けない検定ですが、この「半分」が5章と6章を読む鍵になります。
寄りの差(左の列)は区分に沿ってほぼ一直線に並びます。 寄り後の日中(右の列)は中の8区分ではほぼ0で、差がいちばん大きい両端の区分に偏っています(下端 −0.60%・上端 +0.52%)。
| 検定 | 係数 | t(NW) | t(暦月) | MDE | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| T2 主要 寄り後 ~ X* | +0.319 | +8.55 | +6.54 | ±0.098 | 両方で |t| ≥ 2 |
| T3 大きさ |Y2| ~ |X*| | +0.399 | +8.35 | +6.16 | ±0.130 | 両方で |t| ≥ 2 |
| T4 先物が下(β−) | +0.316 | +6.13 | +5.65 | ±0.112 | 両方で |t| ≥ 2 |
| T4 先物が上(β+) | +0.322 | +6.36 | +6.31 ※ | ±0.102 | 両方で |t| ≥ 2 |
| T4 差 β+ − β− | +0.006 | +0.09 | +0.14 | ±0.140 | 基準未満(向きで違わない) |
| T5 上位10%の日の同じ向きの割合 − 全期間 | +16.9pt | +7.92 | +8.18 | ±4.3pt | 両方で |t| ≥ 2 |
| T6 SQ の前後3日を除く | +0.315 | +7.79 | +5.87 | ±0.107 | 両方で |t| ≥ 2 |
主要仮説 T2 は両方の方法で基準を満たしました。差 1% あたり、寄りから引けまでにさらに平均 +0.32% 同じ向きに動いています。 差が直近100営業日の上位10%だった日(463局面・延べ595日)では、寄り後に同じ向きへ動いた割合が 69.3%(全期間 52.4%)です。 先物が上のときも下のときも傾きは同じで(差 +0.006)、SQ の前後を除いても変わりません。
寄りの +0.55 と合わせると、指数の値では差のおよそ87%が翌営業日の引けまでに表れ、そのうち3分の1強が寄りの後に表れていることになります。 ここまでだけを見ると「寄った後も続く」と書けてしまいます。
ここで診断 D2 が効きます。日経平均の始値は 9:00 に最初に算出された値で、 その時点でまだ寄り付いていない構成銘柄は、値が付かないまま(前日の終値や特別気配の値で)計算に入ります。 先物との差が大きい日ほど寄りで値が付かない銘柄が増え、始値は前日の水準に引っ張られます。 それらの銘柄が寄った後に指数が動くので、寄りの時点で値が決まっていても、指数の値では寄り後に続いたように見えます。
日経225連動ETF(1321)の始値は、ETF そのものの寄りで実際に約定した値段です。 そこで、ETF の日足が揃う2009年以降の3,922営業日で、同じ日の組について指数と ETF の寄り後を並べました。
| 同じ3,922営業日 | 係数 | t(NW) | t(暦月) | MDE | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 日経平均の寄り → 引け | +0.253 | +7.65 | +7.43 | ±0.068 | 両方で |t| ≥ 2 |
| 日経225連動ETF(1321)の寄り → 引け | −0.022 | −1.09 | −1.30 | ±0.041 | 基準未満 |
同じ日の組で、指数では +0.25、ETF ではゼロと区別できない −0.02 でした。 ETF の診断で見える下限は ±0.04 で、指数の +0.25 よりずっと小さい続きまで見える設計でしたが、検出されていません。 寄り後に続いて見えたものは、指数の始値の遅れと区別できません。4章の図で寄り後の偏りが両端の区分に集まっていたのも、 大きく窓を開けた日ほど寄りで値が付かない銘柄が増えるという遅れの仕組みと矛盾しない形です(図の読みで、検定ではありません)。
一方で、ETF の寄りも完全に遅れが無いわけではありません。大きく窓を開けた日は ETF 自身も特別気配になり、 9:00 より後に値が付くことがあります。その場合は ETF の始値に寄り後の情報が入り、続きを小さく見せる向きに働きます。 D2 は「遅れの無い寄り値」の近似であって、完全な測定ではありません。
主要仮説 T2 は基準を満たしましたが、結果を見る前に決めた診断 D2 に止められました。 事前登録の規則どおり、寄り後の向きの話は画面に載せません。
指数の方向を当てにいった試みとして6回目で、画面に載せられる形になったものはまだありません。 今回は検定そのものは通りました。それでも載せないのは、通った理由が測り方にあるかもしれないことを、結果を見る前に決めた手順で見分けたからです。
| 確認 | 期待 | 実測 |
|---|---|---|
| プラセボ P1: 寄り後の日中 ← 2営業日前の差 | すでに表れ終わった古い差なので、説明できないはず | 係数 +0.013・t = +0.50 / +0.59 → ゼロと区別できない |
もしここで係数が立っていたら、差と翌営業日の対応がずれている(まだ知り得ない先物の値を使っている)ことを疑うところでした。 立たなかったので、日付の揃え方に問題は見つかりませんでした。
主要仮説 T2 の係数(指数の値)を、250営業日の窓でずらしながら推定し直しました。事前に決めた提示物で、検定ではありません。
窓は 5,059、係数が正だった窓は 98.6%、中央値 +0.196(下位1割 +0.072・上位1割 +0.469)、最小 −0.047・最大 +0.628 です。 どの時期にどうだったかは結論にしません(構造変化点を探すと多重比較になります)。 なお、この係数は指数の値で測ったもので、6章の始値の遅れを含んでいます。
/admin/hist(管理用)経由で取得この検証は、差と結果を1つも突き合わせる前に設計を凍結してから実行しました
(2026-09-13・検定7本・主要仮説・判定基準・停止規則・診断・図・限界を固定し、内容の SHA-256 f7daeaa6…064f0f を記録)。
行の作り方・暦・日足のファイルもハッシュで固定し、実行スクリプトは照合できなければ何も計算しません。そのうえで開示すべきことが3つあります。