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先物と現物の差は、寄り後の向きを教えるか — 22年・5,308営業日の検証

公開 2026-09-13 / 対象: 日経平均(^N225)の日足 OHLC × CME の日経先物(NIY=F・円建て)、診断に日経225連動ETF(1321) / 期間: 2004-03-22〜2026-09-10(5,308営業日) / 検証者: RegimeNote運営事務局
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検証日
2026-09-13
データ期間
2004-03-22〜2026-09-10(結果は翌立会日の 2026-09-11 まで)
対象・N
日経平均の日足 OHLC × CME の日経先物(円建て) / 5,308営業日・暦月 271 / 診断: 日経225連動ETF(1321)3,922営業日
結論
指数の値では寄り後も差と同じ向きに続いて見えるが、実際に売買できるETFの寄り値で測ると消えた。指数の始値の遅れと区別できず、寄り後の向きの予測力は確認できない(方向の検証は6回目)
最小検出可能効果
±0.064(寄りでの織り込み率)〜 ±0.140(向きで分けた傾きの差) / 割合の差 ±4.3pt / ETF の診断 ±0.041この検定設計(サンプル数・クラスタ補正・|t| ≥ 2)で見える下限です。これより小さい効果は、存在しても検出できません。「差が出なかった」は「効果がゼロ」ではありません。
使用API
/admin/hist(日経平均・NIY=F・1321.T の日足)
本記事の数値は検証日時点のものです。当サイトのデータは毎営業日更新されるため、時間の経過とともに最新のAPI応答とは差が生じます。四半期ごとに掲載数値と結論を最新データで再検証し、結論が変わった場合は本文を改訂して記事末尾に改訂履歴を残します。

トップの「平常から外れた数字」には、CME の日経先物と日経平均の終値の差を載せています(「先物(CME)は現物を◯円下回っています」)。 この差を見て「明日の寄りは安い」「寄った後も下げる」と読みたくなりますが、当サイトはその含意を書いていません。 書く前に、2004年からの22年・5,308営業日で関係を測りました。結果を1つも見る前に設計を凍結した検証です。

結論
  1. 差のうち、翌営業日の日経平均の始値に表れるのは約55%です。ベーシスを引いた差 1% あたり、始値は平均 +0.55%(判定基準の2つの方法で t = +25.0 / +17.3)。
  2. 指数の値では、寄り後も差と同じ向きに続いて見えます。寄りから引けまでの係数は +0.32(t = +8.6 / +6.5)。 差が直近100営業日の上位10%だった日は、寄り後に同じ向きへ動いた割合が 69%(全期間 52%)です。SQ の前後を除いても、先物が上か下かで分けても変わりません。
  3. ところが、実際に売買できる日経225連動ETF(1321)の寄り値で測ると、続きは消えました。 同じ2009年以降の3,922営業日で、指数では +0.25、ETF では −0.02(t = −1.1 / −1.3)です。
  4. 寄り後に続いて見えたのは、指数の始値の遅れと区別できません。日経平均の始値には、寄りでまだ値が付いていない構成銘柄が前日の水準のまま入ります。 主要仮説の検定は基準を満たしましたが、結果を見る前に決めた診断に止められたので、寄り後の向きの話は画面に載せません。 指数の方向を当てにいった試みとして6回目で、画面に載せられる形になったものはまだありません。

1. 何を確かめたか

トップの「平常から外れた数字」には、CME の日経先物の終値と日経平均の終値の差を載せています。 東京の引け(15:30)の後もシカゴで取引が続くので、この差は東証が閉じている間に起きた値動きを映します。 差が大きい日に「明日の寄りは安い」「寄った後も下げる」と読みたくなるのは自然ですが、当サイトはその含意を書いていません。 書く前に、関係を測りました。問いは2つです。

後者は指数の方向の話です。当サイトは指数の方向を当てにいって、これまで5回とも基準を満たしていません。

回検証結果
1Breadth Gap と寄与集中度 → 翌日・5日・20日先全12検定で |t| < 1.0
2類似局面のその後12通りすべてで検出できず
3σバンドの水準 → その後の超過60検定で基準を満たしたセルはゼロ
4月足の反発ルール指数 0/14・個別 0/14
5前日の為替 → 翌営業日の日経夜・日中とも基準未満

今回は6回目です。結果を1つも見る前に、検定・判定基準・停止規則・診断を固定しました(12章)。

2. 何をどう測ったか

CME の日経先物の日足はシカゴの16時に閉じます。これは東京の翌朝6〜7時で、 東京の引けより後、翌営業日の寄り(9:00)より前です。そこで、東京の営業日 D ごとに 翌営業日 D' の寄りより前に閉じた CME の最新の日足を対応させました。 この対応はトップの行が使っているものと同じ関数で、定義を2か所に持っていません。

記号定義何か
X100·ln(CME の終値 ÷ 日経平均の終値[D])先物と現物の差(%)
X*X − 直前20営業日の X の平均(当日を含まない)主系統。配当・金利の分(ベーシス)の近似を引いた差
Y1100·ln(始値[D'] ÷ 終値[D])翌営業日の寄りの差
Y2100·ln(終値[D'] ÷ 始値[D'])寄り後の日中
Y2(ETF)1321 の 100·ln(終値[D'] ÷ 始値[D'])実際に約定する寄り値で測った日中(診断)

X をそのまま使わないのは、先物には配当と金利の分が入るからです。3月・9月の SQ(第2金曜)の後は、 次の限月が月末の配当の権利落ちをまたぐので、先物は現物より配当のぶん安くなります。 これは東証が閉じている間の値動きではないので、直前20営業日の平均を引いて近似的に取り除きました。

日足には2つの手当てをしています。Yahoo の日経平均の日足には東証の休日にも値の無い行や前日の値を置いた行があるので、 立会日は法律の規則から組み立てた暦で判定しました(2004年以降の5,556立会日と突き合わせて暦の誤りは0)。 日足そのものが欠けている立会日(3日)をまたぐ行と、同一バー内で高値が安値の10倍以上ある壊れた記録は使っていません。

3. 判定の方法

判定は他の検証と同じく、2つの方法の両方で |t| ≥ 2 を要求します。

2つが同じ計算に退化していないかも毎回確かめ、標準誤差の差が2%未満なら暦月クラスタを ブロックブートストラップ(長さ5・2000反復・固定シード)に差し替える、と先に決めました。 今回は1か所(先物が上のときの傾き β+)で差し替えが起きています。

検定式何を見るか
T1Y1 ~ X*寄りでの織り込み率。大きく出るのは当然なので合否を付けない
T2(主要)Y2 ~ X*寄り後に同じ向きへ続くか、戻るか
T3|Y2| ~ |X*|寄り後の値動きの大きさ
T4Y2 ~ X* の負の部分 + 正の部分先物が下のときと上のときで傾きが違うか(2係数)
T5差が上位10%の日に Y2 が X* と同じ向きだった割合 − 全期間の割合表示に使うとしたらこの形(頻度)
T6T2 から SQ の前後3日を除く限月の継ぎ目と配当の影響への感度

係数にして7本です。偶然でも |t| ≥ 2 は 0.35本前後出ます。 このほかに、本数に数えない診断を2つ置きました。

4. 結果① 始値に表れるのは差の約55%

ベーシスを引いた差 1% あたり、翌営業日の日経平均の始値は平均 +0.55% でした(t = +25.0 / +17.3)。 1 との差は −0.45(t = −20.1 / −13.9)で、始値の時点では差の半分ほどしか表れていません。 T1 は合否を付けない検定ですが、この「半分」が5章と6章を読む鍵になります。

ベーシスを引いた差(X*)で5,308営業日を10等分し、各区分の平均を並べたもの。事前に決めた提示物で、検定ではありません
区分X* の平均寄りの差 Y1寄り後 Y2
1−2.02%−1.21%−0.60%
2−0.87%−0.62%−0.04%
3−0.49%−0.33%+0.01%
4−0.26%−0.15%−0.00%
5−0.07%−0.00%−0.02%
6+0.09%+0.14%−0.02%
7+0.28%+0.30%+0.00%
8+0.53%+0.46%−0.06%
9+0.87%+0.72%+0.08%
10+1.93%+1.15%+0.52%

寄りの差(左の列)は区分に沿ってほぼ一直線に並びます。 寄り後の日中(右の列)は中の8区分ではほぼ0で、差がいちばん大きい両端の区分に偏っています(下端 −0.60%・上端 +0.52%)。

5. 結果② 指数の値では、寄り後も同じ向きに続いて見える

検定係数t(NW)t(暦月)MDE判定
T2 主要 寄り後 ~ X*+0.319+8.55+6.54±0.098両方で |t| ≥ 2
T3 大きさ |Y2| ~ |X*|+0.399+8.35+6.16±0.130両方で |t| ≥ 2
T4 先物が下(β−)+0.316+6.13+5.65±0.112両方で |t| ≥ 2
T4 先物が上(β+)+0.322+6.36+6.31 ※±0.102両方で |t| ≥ 2
T4 差 β+ − β−+0.006+0.09+0.14±0.140基準未満(向きで違わない)
T5 上位10%の日の同じ向きの割合 − 全期間+16.9pt+7.92+8.18±4.3pt両方で |t| ≥ 2
T6 SQ の前後3日を除く+0.315+7.79+5.87±0.107両方で |t| ≥ 2
※ β+ は Newey-West と暦月クラスタの標準誤差の差が 0.29% で同じ計算に退化していたため、事前に決めたとおりブロックブートストラップ(長さ5・2000反復・固定シード)に差し替えています。

主要仮説 T2 は両方の方法で基準を満たしました。差 1% あたり、寄りから引けまでにさらに平均 +0.32% 同じ向きに動いています。 差が直近100営業日の上位10%だった日(463局面・延べ595日)では、寄り後に同じ向きへ動いた割合が 69.3%(全期間 52.4%)です。 先物が上のときも下のときも傾きは同じで(差 +0.006)、SQ の前後を除いても変わりません。

寄りの +0.55 と合わせると、指数の値では差のおよそ87%が翌営業日の引けまでに表れ、そのうち3分の1強が寄りの後に表れていることになります。 ここまでだけを見ると「寄った後も続く」と書けてしまいます。

6. 結果③ 実際に売買できる寄り値で測ると、続きは消えた

ここで診断 D2 が効きます。日経平均の始値は 9:00 に最初に算出された値で、 その時点でまだ寄り付いていない構成銘柄は、値が付かないまま(前日の終値や特別気配の値で)計算に入ります。 先物との差が大きい日ほど寄りで値が付かない銘柄が増え、始値は前日の水準に引っ張られます。 それらの銘柄が寄った後に指数が動くので、寄りの時点で値が決まっていても、指数の値では寄り後に続いたように見えます。

日経225連動ETF(1321)の始値は、ETF そのものの寄りで実際に約定した値段です。 そこで、ETF の日足が揃う2009年以降の3,922営業日で、同じ日の組について指数と ETF の寄り後を並べました。

同じ3,922営業日(2009-02-05〜)の寄り → 引けの係数(差 1% あたり)。細い線は ±2 標準誤差(2つの方法の大きい方)
日経平均+0.253
ETF(1321)−0.022
−0.40+0.4
同じ3,922営業日係数t(NW)t(暦月)MDE判定
日経平均の寄り → 引け+0.253+7.65+7.43±0.068両方で |t| ≥ 2
日経225連動ETF(1321)の寄り → 引け−0.022−1.09−1.30±0.041基準未満

同じ日の組で、指数では +0.25、ETF ではゼロと区別できない −0.02 でした。 ETF の診断で見える下限は ±0.04 で、指数の +0.25 よりずっと小さい続きまで見える設計でしたが、検出されていません。 寄り後に続いて見えたものは、指数の始値の遅れと区別できません。4章の図で寄り後の偏りが両端の区分に集まっていたのも、 大きく窓を開けた日ほど寄りで値が付かない銘柄が増えるという遅れの仕組みと矛盾しない形です(図の読みで、検定ではありません)。

一方で、ETF の寄りも完全に遅れが無いわけではありません。大きく窓を開けた日は ETF 自身も特別気配になり、 9:00 より後に値が付くことがあります。その場合は ETF の始値に寄り後の情報が入り、続きを小さく見せる向きに働きます。 D2 は「遅れの無い寄り値」の近似であって、完全な測定ではありません。

7. 判定 —— 寄り後の向きは画面に載せない

主要仮説 T2 は基準を満たしましたが、結果を見る前に決めた診断 D2 に止められました。 事前登録の規則どおり、寄り後の向きの話は画面に載せません。

指数の方向を当てにいった試みとして6回目で、画面に載せられる形になったものはまだありません。 今回は検定そのものは通りました。それでも載せないのは、通った理由が測り方にあるかもしれないことを、結果を見る前に決めた手順で見分けたからです。

8. 診断 —— 日付の揃え方の確認

確認期待実測
プラセボ P1: 寄り後の日中 ← 2営業日前の差すでに表れ終わった古い差なので、説明できないはず係数 +0.013・t = +0.50 / +0.59 → ゼロと区別できない

もしここで係数が立っていたら、差と翌営業日の対応がずれている(まだ知り得ない先物の値を使っている)ことを疑うところでした。 立たなかったので、日付の揃え方に問題は見つかりませんでした。

9. 係数は時期によってどれくらい動いたか

主要仮説 T2 の係数(指数の値)を、250営業日の窓でずらしながら推定し直しました。事前に決めた提示物で、検定ではありません。

2005-04-11(窓の末尾)縦軸 −0.1〜+0.7・細い横線が 02026-09-10

窓は 5,059、係数が正だった窓は 98.6%、中央値 +0.196(下位1割 +0.072・上位1割 +0.469)、最小 −0.047・最大 +0.628 です。 どの時期にどうだったかは結論にしません(構造変化点を探すと多重比較になります)。 なお、この係数は指数の値で測ったもので、6章の始値の遅れを含んでいます。

10. 再現方法

  1. 日足: 日経平均(^N225)・CME の日経先物(NIY=F・円建て)・日経225連動ETF(1321.T)を /admin/hist(管理用)経由で取得
  2. 立会日の暦: 国民の祝日・振替休日・国民の休日・年末年始(12/31〜1/3)・2020-10-01 の終日停止から組み立てる
  3. 差と翌営業日の対応: 東京の営業日 D ごとに、翌営業日 D' の寄りより前に閉じた CME の最新の日足(CME の暦日 d が D ≤ d < D')。トップの行と同じ関数
  4. X* は直前20営業日の平均を引く。上位10%は、|X*| が直前100営業日の |X*| のうち同じ大きさ以上の日が10%以下(トップの行と同じ判定)
  5. 回帰は切片つきの最小二乗。標準誤差は Newey-West(ラグ5)と暦月クラスタの両方

11. この検証の限界

12. 事前登録と開示

この検証は、差と結果を1つも突き合わせる前に設計を凍結してから実行しました (2026-09-13・検定7本・主要仮説・判定基準・停止規則・診断・図・限界を固定し、内容の SHA-256 f7daeaa6…064f0f を記録)。 行の作り方・暦・日足のファイルもハッシュで固定し、実行スクリプトは照合できなければ何も計算しません。そのうえで開示すべきことが3つあります。

  1. 凍結の前に見ていたもの。トップの行を作ったときの差の直近100営業日の分布、設計のための差と結果それぞれ単独の分布、 差だけの暦月別の平均と SQ 前後の中央値、始値の品質です。差と結果を同じ日で突き合わせた数字は1つも見ていません。
  2. 承認された設計案を、凍結の直前に変えました。 設計案は「始値の誤差は寄り後の係数を負に偏らせうる」と書いていましたが、独立な誤差は偏らせず、 偏らせるのは始値の遅れで、その向きは正(続いて見える)でした。この取り違えに気づいてETF の寄り値で測り直す診断 D2 を足し、 あわせて休日の行を正しく扱う暦を入れました。どれも結果を見る前の変更で、理由とともに記録しています。
  3. D2 を足していなければ、この記事の結論は逆になっていました。主要仮説は基準を満たしたので、 「寄りの後も差と同じ向きに続く」と書いていたはずです。
改訂履歴
2026-09-13 公開(初版)
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